指導教官選びと研究室配属

Rice Universityに入学してからの半年間は,雇ってくれる指導教官を探す重要な期間であった.

所属してからPh. D.を取得するまでの5,6年ものスパンで白鳥の学費,生活費を研究費(グラント)から負担してくれる,そんな「優しい」指導教官である.

いや,本当にそんな都合の良い人いるのか?? ここにアメリカと日本との大学院生に対する待遇の違いの一つがある.

日本の博士課程学生だったら,同年代は働いて給与を得ているのに,自分で学費,生活費を負担し,研究に身をやつすと聞く.

奨学金は全員がもらえるわけでないので,自然と競争が激しくなる.したがって,当時の学部生白鳥に,博士課程とは,教授志望で研究が三度の飯より好きという人のみが進む過酷な道という印象を持たせた.

しかし,アメリカでは,大学院生が給与を指導教官から得ながら,勉強や研究をすることができる.

その「優しさ」は,指導教官の性格というより,ほとんどの米研究大学院に共通するシステムなのであった!したがって,多くの大学院生が選択肢の一つとしてPh. D.取得を持つことができる.

じゃあ,お金の心配はなくなった.次は自分のやりたい研究分野でインパクトを残せそうな研究室選びである.

現状の把握

まず,大切だと思うのが,自分の現状をしっかり理解することである.

例えば,白鳥の例だと,

英語でのコミュニケーション力が十分ではないと感じていること.

まだまだ研究の経験(実績)が浅いということ.

「ナノサイエンスによるエネルギー問題の解決」という大まかな研究指針しか持っていないこと.

この3点を把握した上で,現状をできる限り,うまく改善できるような研究室が望ましいと思っていた.

白鳥の戦略

己を知ることができたら,次は研究室を知ることである.

研究室を知るための一番手っ取り早い方法は,そこの大学院生,ポスドク,教授に直接話を聞くことだ.

白鳥は,Applied Physicsの同期とお互いにどんなメールのやりとりをするかなどを確認しながら,教授にアポをとって,自分の興味を話し,相手の興味や研究スタイル,そして大学院生としてのポストがあるかなどを聞いてまわった.

教授と話す前は緊張するもので,日本からのちょっとしたお土産と一緒に,卒業研究論文を渡したり,その研究についてエレベータピッチをしました.準備が一番重要.

結局,3つの研究室を周り,実際にローテーション(体験研究)をしたのは,1つだけ.それが白鳥が所属することになるLink Research Group.

少しリスキーではあったが,他のApplied Physicsや化学の学生も同時期に研究室を選択するので,早い段階から1つの研究室に絞るのは,生存確率をあげるだろうと考えていた.

英傑Linkとの最終面談の5分前

Link教授と2,3回面談をして,最終面談にて,所属させてほしい旨をお伝えして,オッケーサインをいただいた.

ローテーションでの研究テーマが他の志望する大学院生と被っていたので,少し違う研究テーマを紹介していただいたが,のちにそれが功を奏すことに.

白鳥の判断基準

スマッシュブラザーズSpecialのVIPでLinkを使っている

スマブラでもリンク使っている笑

この研究室に所属したいと早い段階から決めた理由は以下.

・研究面

エネルギー関連の研究プロジェクト

ナノスケールの科学を用いて,高効率のエネルギー変換を実現するような物質の探索に関するプロジェクト(エネルギー省のFund)をやらせてもらえそう.

物理だけじゃなく,化学も勉強できること

白鳥はApplied Physicsだが,研究室のメンバーは全員がChemistry.研究分野は「物理化学」だが,Ph. D.取得までの長い道のりで物理だけじゃなく,化学も勉強できるのは願ったり叶ったり.

ドイツへの研究留学プログラムに参加できる可能性が高いこと

Applied Physicsの学生は,Toulouse-Mainz Scholar Exchange Programに参加可能で,このプログラムのMainz University担当がLink教授なのでコンボ!これに参加するのが今後の目標.

毎年多くの論文を出版していて,世界中に研究コネクションがあること

研究室の生産性や研究コネクションの有無についても重要で,Link Groupは年10本以上は出版していて,ヨーロッパを中心に研究コネクションがあるのは魅力的(Link教授がドイツ人ってのもあって).

・環境面

週1の定期的なフィードバックと先輩によるメンターシップ

週1回Subgroup Meetingがあり,Landes&Link教授からフィードバックをいただける(2人は夫婦関係!).研究の細かいプロセスなどは,先輩学生から細かく教えてもらえて,本当に助かる.

20人以上の仲間が同じオフィスにいるということ

遠くない将来絶対に研究に詰まる時が来ると確信している.その時に,助け合える仲間がいれば,なんとかなるんじゃないかという気持ちもあり,比較的大きめの研究室を選択.

実験室,オフィス,デスク,トイレが新しくとても綺麗.

勉強の環境としては,これ以上にないくらい最高.ずっと居られる.

快適すぎるオフィス環境

最後に

オフィスに自分のデスクをもらえて,勉強するにも研究するにも,とても快適.

また,何回も見た研究室のHPに名前が載っているのは,アメリカへの留学生として,そこにいる存在意義を証明してもらっているような気がするので,とても嬉しかった.

この研究室で,自分の居場所を作っていけるように頑張りたい!