【モチベーション】

草津天文研究会(以下,草天)は20年以上続く歴史ある天文研究会.

大学の天体望遠鏡を使用できたり,長期休暇に合宿をしたり,定期的に関西の著名な天体観測スポットをまわる.

「宇宙」をキーワードに新しいことをとにかく始めたかった白鳥は,ロケット研究会RiSAとは別に,草天に入会.

草天では,「もっと交友関係を広げたい(ただし下心も含む)」という大学生らしいモチベーションもあった.

さらに,物理科の男友達も多いので,シンプルに加わっておいて損はなさそうだと思った.

ただの飲みサー?

先代の草天は学生寮でお酒によるトラブルを引き起こし,学内での飲酒を禁止に追い込んだ悪名高い「飲みサー」であった.

飲み会の会場では,吐瀉物による会場の汚染を防ぐためビニールシートが敷かれ,コールという強制飲酒呪文が唱えられるような殺伐とした状況だったそう.知らんけど.

白鳥はシンプルに飲み会の雰囲気についていけないため,ほとんど参加しなかった.

これは正解だったと今でも信じている.

合宿だけ参加する奴

蓋を開けてみると,飲み会どころか,定例会や観測もほとんど参加しない幽霊サークル部員であった.

ただ,長期休暇の合宿だけは,できるだけ参加していた.

そのうちの一つに,広島観光がある.

レンタカーで遠出して,見知らぬ場所で夜空を見上げるのは本当に楽しいもの.

天体観光はRiSAの先輩方と行くことの方が多かった.

これは,将来の良い趣味の一つにしたいと強く思った.

高度化プロジェクト始動

そんなこんなで2回生が終わり,先輩方が引退.

我々24代が役員を務めねばならなくなった.

白鳥は幽霊サークル部員にもかかわらず,なぜかHP/Twitter委員となってしまった.

HP/Twitter委員の役割はデジタル媒体を駆使して,草天の活動を世間一般にお知らせすること.

しかし,当時の草天には24代も続いてきたくせに,HPは存在せず,ブログはあるが,閑古鳥が鳴くような有様.

とても魅力的な活動をしているのに,それを周囲に拡散し切れていないのが残念でならなかった(白鳥はなんもしてないけど).

実は,SOIL&SOULでHP作成経験があった白鳥は1週間でHPを作成,今でも使われている

さらに,従来までのHP/Twitter委員のみがブログの更新するシステムを一新して,活動に参加した人に執筆をお願いするシステムを導入した.

また,先代が製作したドームとプラネタリウムがボロくて洗練されていなかったので,草天の新しいシンボルを作らんとする野心的なプロジェクトも提案.

言い出しっぺの白鳥がプロジェクトリーダーとなり,「草天での魅力的な経験をより多くの人に」という目標を掲げ,草津天文研究会「高度化プロジェクト」が始動させた.

学生活動にいつもつきまとう「お金」の問題は,大学の正課外活動助成金をうまく利用することで解決.

このように現実的な計画立案と合理的な会計さえできれば,学生活動を経済的にも応援してくれる大学は立命館の他に知らん.

ジオデシックドームとデジタルプラネタリウム

複数の扇風機を使って常にドーム内に空気を流し形状を保持するエアドーム形式は先代が好んで使用してきた.

空気の漏れ等によりドームが不安定になりがちで,何より扇風機がうるさいという問題があった.

そこで,自立式のドームであるジオデシックドームを製作することが決めた.

完成した草天オリジナルのジオデシックドーム

後々調べてみると,ジオデシックドームはバックミンスター=フラーが提唱した幾何学球体で,のちに進学するライス大学で発見されたフラーレン(C60)はジオデシックドームと似た構造にあることから,提唱者の名前が由来になったそう.あら,偶然!

また,プラネタリウム映写機も従来のピンホール式からプロジェクターを使ったデジタル式に変更することに.

プロジェクター2機をソフトウェアで並列操作して,半球面ミラーでドームに映写させるという大胆かつ革新的な仕組み.

アイデアの原案
実際の映写部分

孤独の「ものづくり」

どんなに意識が高くことでも,メンバーの協力なしに,実現は不可能.

プロジェクトリーダー白鳥は,幽霊サークル部員であったため,プロジェクト始動時は協力してくれる人が少なかった.

ドームのパネル(プラスチック段ボール)100枚くらいを工作センターで1人で朝から晩まで切りまくったことは,夏の孤独な思い出.

孤独なプラスチックダンボール切断現場

また,製作過程においても,手伝ってくれる人をあまり集めることができず,結局多くの時間を費やした.大変しんどかった.

ただ,高度化プロジェクトのコアメンバーや同期のおかげで,それでも効率良く作業を進めることができた.

また,デジタルプラネタリウムについては,情報学部に所属する草天会長のSが後輩とともに,めちゃ頑張ってくれた.すごすぎる.

2つのプロジェクターからドームの内側に映写するためのソフトウェア「Omnidome」

そして歴史は作られた

また,プロトタイプを念入りに製作したおかげで,目に見える形で成果が現れ始めた.

プラネタリウムが完成に近づくにつれ,草天の一般メンバーも徐々に参加してくれるようになった.

2017年4月に考案したプラネタリウムは,約5ヶ月の月日を経て,9月にほぼ完成した.

そして,空調や外装を調整して,24代が引退する12月には最終完成.

数々のプロトタイプたち

「近所の科学館のプラネタリウムのご家庭版」かと思えるくらい質が良く,とても感動した.

「草天での魅力的な経験をより多くの人に」という大きな目標もこの新しいプラネタリウムをシンボルに達成されるだろうと自画自賛.

最後にもちろん報告書執筆,総会にて発表をして,高度化プロジェクトは完結.

現在の草天

残念ながら,プラネタリウムは何かしらの問題により,エアドームに戻ってしまったようだ(2023年12月).

自分が製作したものが,後世に使われ続けることの難しさよ.

それでも,新しいカメラや望遠鏡を購入して,プラネタリウムに映写できる天体写真を撮影しにいったりと,活発に活動している様子が伺える.

後輩が頑張っているのを見るとやはり誇らしい.

そういう風に思えるのも,何か面白くて大きいことをみんなで一緒に成し遂げたという思い出が草天にあるからなんでしょうが.

【最後に】

このプロジェクトはRiSAで身につけた工作スキル,プロジェクトマネジメントスキルや問題解決能力を遺憾無く発揮する絶好の機会だった.

そして,企画提案,資金調達から完成までをやり通せたことが本当に大きな自信となった.

そしてこれが学部生活で最も大きな工作となった.

最後まで,天文のことは少ししか勉強しなかったけれども,同期とたまに会って「俺たちあの時よくやったよなぁ」と語り会えたりするのが今から本当に楽しみ.